情報消費と情報要求レベル

Robert S.Taylorが1968年に書いた論文、Question-Negotiation and Information Seeking in Librariesによると、図書館で情報を求めている人には要求レベルには4つの段階があり、それぞれvisceral,conscious, formal, and compromisedと表現されている。人が図書館で本を検索してもらいたい場合、ライブラリアンにリクエストするわけだが、なーんとなく漠然とした要求レベルからはじまり、具体的に文献名までずばっと言って求める段階まで大きく4つに整理したものだ。

最近使ってるプレゼンスライドを参考に。

たとえば、活用するにもキーワードありきGoogleは3段階目以降の人にとって使いやすい。が、きちんと言語として認識できていない段階では、その情報要求を満たすことができない。Google suggestや、「もしかして」とかそういう機能は、なんとかしてより情報要求レベルの低い人たちへのサービスにつながらないものかとの試みだが、漠然と言語化しにくい情報要求レベル1の人にはまるで役に立たない。まーそこで人に相談するスキームがまだまだ必要なわけで、情報は人からおごってもらうものだ、ということが成り立つわけだが。

いずれにせよ、この情報要求レベルというコンセプトは、これがネットで情報消費する人と情報供給するサイドの乖離を読み解くひとつのカギになると思われる。その乖離の大きさを知るのに「情報流通センサス調査」というのが出てきていたのだが、それによると情報消費可能量は平成8年を基準にしたときに平成18年の値は37倍、かたや供給サイドのほうは550倍だ。

こうも乖離が進むと調査結果そのものの有効活用に問題が出るよね。さてさて、どうするんだろうと注目していたのだが、総務省は最近、これまで行ってきた情報流通センサス調査の調査指標を検討しなおす「情報流通インデックス研究会」を設置したと発表した。あら、山口さんのご同僚と思われる方も委員にいらっしゃるようだね。詳しい話を聞きたいものだ。

情報要求レベルが高くなくとも、それは人の行動の根拠になっている部分だし、市場を動かす。だからこそ、人の感情、感覚を掘り起こし、可視化し、そこから意味を読み解くことが必要だが、その試みは、まだまだ始まったばかりだ。

そうそう、LUNARRのelementsもきっとそこを確信犯的にやってるに違いない。