違う。- 思いつきや勘を殺しちゃいけない。
gomlog曰く、
話すにしても、しっかりと土台があることを話そう。
というのも、
ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力を読んでいたら、こんなことが書いてあったのである。素人マーケターとは、その人の経験や知識に基づく部分から話をするのではなく、いきなり第三者の視点に立ってしまって、思いつきや勘で、詳しくもないのに口出しをしてくることです。
それなんて俺?
本の文脈では、「アイデアを醸成するために話す相手が、素人マーケターになってないかを注意しておくこと」となっているが、自分の身を顧みると・・・(泣
その本読んでませんけど、gomlogが正しく引用してたとすると、勝間和代氏の意図がさっぱりわからん。
だって、
「その人の経験や知識に基づく部分から話をするのではなく」
経験や知識に基づいて話をするってなんなのかね。消費者として、観察者としての経験は度外視なのかね。マーケティングのプロは常に消費者の意見がわかっているのかね。
「思いつきや勘で、詳しくもないのに口出しをしてくる」
ここなんて特に、なにが悪いんだろうかさっぱりわからない。テーマはマーケティングでしょ?ここを排除する意味がますますわからない。
思いつきや勘は、その人の暗黙知の世界にあるわけだけど、それはその人の経験や知識に強く基づいているわけ。また、マーケティングの文脈ならなおさらよ。だってマーケットは購買者の「思いつきや勘」の世界で大きく動いてるわけ。
だから、「こうかな」と感じるところがあれば、自分の「納得」のためのDevil's Advocateプロセス*1だと思えばそれを会話することは意味があり、楽しめるはず。だから、自分に豊かなプロマーケッターとしての経験がなくとも、自分の思ったこと、感じたことをまず口に出してみて、フィードバックから自分を補正したり、気付きを共有したりすればいいのです。
自分の経験はともかく、意見の出し方にもよるけど、という部分は確かにありますな。えらそーに断定しまくればアホ扱いされてあたりまえなんだけどさ。でも逆にアホだとすぐわかるから選別しやすくていいじゃんw
他方、聴き手、つまりアイデアを醸成する人が、取捨選択すればいいことで、それは素人だろうが玄人だろうが、オレオレマーケターの話をうのみにして振り回されると進むものも進まない。勝間和代氏は素人マーケターを酷評するより、いろんな人が出してくるいろんな意見の取捨選択のコツを教えるべきでは。
こうしたノウハウ本の弊害は、「急激に成長した気がする」の裏側で、「物事をあまり知らない自分を恥じるあまり急激に萎縮する」という逆のスパイラルをもたらしてしまうのかもしれない。
単なる書籍の受け売り文句に、可能性を伸ばすどころか凹まされてどうするよ。
小さくまとまんなよ。
そこがわかってない人は、この本は買ってはいけない。
勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/06/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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*1:devil's advocateとは、なにかを定めたり改定する際に、意図的にその反対の立場(いわばdevil)をとることによって、いけいけどんどんな進め方の隙をチェックし、より強い論理に支えられたものに鍛え上げていくことを目的とする役割のこと。ビジネスプランの策定によく使われる。